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2012年3月6日火曜日

感想文(長いよ)(かなりね)

「ものすごくうるさくて、ありえないくらい近い」を観て思い出した事を今日は書きます。
「extremely loud & incredibly close」が英語の原題です。この本が原作だったなんて、つい先日翻訳された本が積まれているのを本屋で見かけるまで気がつかなかった。

これこれ。これね、2001年の911があって、どのくらいしてからだろう、ふと気がつくと、電車の中でもカフェでもバスでも公園でも、この本を読んでる人を本当にたくさん見かけたの。私は読んでないけれど、その記憶は確かにある。だって、本当にしょっちゅう見かけたんだもの、この本読んでた人。それがこの映画の原作だったなんて。気がつかなかった。

私は、1998から2009まで11年2ヶ月NYに住んでいたので、この2001年の出来事の時、映画の中の男の子オスカーはthe worst dayってずっと呼ぶのだけれど、バリバリNYに住んでました。アッパーウエストサイドで全然会話をしない日本人男性ルームメイトと一緒に住んでました。

で、映画を見始めて、5分くらいして、「あぁこの映画かぁなんで選んじゃったんだろう」と心底思った。映画の出来不出来じゃないよ、もちろん。ただ、あの911の映像や映画や本などにはなんとなく、意識的にではないけれど、なんとなくずっと避けてきていて、だから、なんとなくこの映画を見る事に抵抗があったのです。って、もう映画始まってから気がついたんだけど。不思議よねぇ、映画のあらすじは知ってたのに、だから911の話しだって知ってたのに選んでて、でも見始めたら拒絶反応が出て。でも観たよ。きっと、これも意味があることなんでしょうと思って。

映画は、ズーンときました。ドーンと。だーんと。良かったとか感動した、とかそんな薄っぺらペラな言葉じゃないのよ。なんか、言葉にならない想いなのよ。なんだろうなぁ。
まだチリチリ痛かったり。あぁそうそうそうだったよなぁってちょっと懐かしく思ったり。

オスカーみたいな子供、たくさんいます。もちろん、震災だって同じだよ、というご意見もあるでしょう。それは今日は触れないでおかせて下さい。私は、911の時の事、そしてこの映画の感想を書きたいので。

あの頃、私はまだアクティングの生徒で、ワールドトレードセンターがよく見える所に学校があって、多分学校から20分くらい歩いたら着けるくらいの距離だったと思う。で同時に、オフオフブロードウェイでミュージカルのリハーサル中で、しかも初めてソロを貰った作品で、そのリハーサルスペース/劇場はもっともっとワールドトレードセンターに近くて、歩いて10分もしなかったと思う。

でその日、火曜日だった気がするんだけど、私は確か午後から学校で、午前中は寝てて、電話がなったの。チエコは、私が寝てる時に電話すると機嫌が悪い事を知っているから普段は午前中に電話なんてかけてこないはずなのに、留守電越しに何やら大きな声で言ってるのよ。「ゆりーゆりー起きてー電話とってー世界貿易センターが大変でゆりーゆりー」って。で、もちろん不機嫌になりながら受話器を取ったら、「いいからテレビつけて」って言うから、不機嫌のまま、寝ぼけたまま、テレビつけたらさ。
ワールドトレードセンターから煙が出てるのよ。
なにこれって言ったかな。
簡単に手短にチエコと話して電話切ったのかな。そこからあんまり記憶がない。
でも2機目が突っ込んで。
それから心配して電話くれたお友達とテレビ観ながら、これ何が起こったんだろうね、なんて言ってたら、ビルが崩れた。テレビの中で。あのビルが、どわーーーーーって崩れた。
ビックリし過ぎて声が出なかった。何が起こったのかわからなくて、どのチャンネル観ても教えてくれなくて、何がなんだかわからなくて、とりあえず学校に行くのはやめにして、外に出た。そしたら、街は異様な雰囲気だった。だって、誰にも何にも事情がわからないんだもん。みんな右往左往して殺気だってた。だから、みんなの流れに合わせて、スーパーに行って買えるだけ食料を買ったんだけれど、もうね、空っぽなんだよスーパー。映像で観た事ある、オイルショックの棚みたいこんなことって本当に起こるんだなぁって思ったのを覚えてる。
それから、銀行行って残高証明出して、お家帰ってお風呂にお水ためて、そしたらもうチエコとは電話がつながらなくなってた。
で、テレビ観てると不安ばっかり大きくなるし、でもテレビ観る意外にどうしたらいいのか全くわからなかったから、その日の夜に、電車に一人で乗って、その時付き合ってた男性のお家に行って1週間くらい泊まってたと思う。怖くて外なんて出なかったなぁ確か。

でも1週間くらいして、もうテレビではあの映像を流さなくなってて、でもブッシュがアメリカ国旗を瓦礫にさした写真は出回ってて、あんなに支持率が低かったのに急に支持率が上がって、人種差別がひどくなってて、特に中東の人たち(多分肌の色と服装と英語のアクセントで判断してるんだと思うけど)への差別はひどくなってた。私は学校へまた通い出したけれど、登校途中にいつも見えてたワールドトレードセンターが見えなくなってたのは不思議だったなぁ。なくなっちゃったんだなぁって思った。
でもリハーサルは再開しなかった。確かね、立ち入り禁止区域だったのよ。しばらくお休みになってて、久しぶりにリハーサルに行って、みんなで泣きながら無事を確認した。キャストスタッフで亡くなった方はいなかったけど、上司が、とか、妹の旦那の家族が、とか、直接に亡くなった方はいなくても、ちょっと遠くまで見渡したら、被害にあった方がいた。
今思うと、リハーサルがあって良かった。学校と家の往復だけではなく、他にもやる事があって良かった。気がまぎれたから。

当時、街は臭かった。何の臭いだったんだろう。死臭とかじゃなくて、多分あれだけのビルが崩壊したのだから、それの臭いなんだろうけれど。いつも臭ってた。
NYに住んでる人の、たくさんの人が、辛かった数ヶ月。人種差別があったり、宗教差別があったり辛い事が多かった。
でも、みんなで前を向こう、っていう空気があった。そこには確かにあった。辛いけど、みんなで前に歩を進めよう一緒にさ、っていう空気があった。みんなが唇をギュッて結んで頑張ってた。電車内で目があうと、にこって微笑む習慣のあるアメリカ人だけれど、当時のにこはそこにメッセージがあったと思う。smileって。辛くても笑顔を忘れないでって。前に進みましょうって。

だから、私も必死だった。目の前のことを必死にやって毎日を過ごしていた。そして、12月に、ふと気がついたの。私ものすごく疲れたって。ものすごく疲れた頑張る事に。前を向く事にって。
それから、少しずつ必死に頑張る事を緩めて行った気がする。でも、必死に頑張らないといられなかったのよ。外国で、家族はいなくて、外人で、英語は覚束なくて、必死だった毎日。

というのが私の話し。
誰も失っていない私でさえ、相当な心労がありました。
とすると、お父さんをこんな理不尽な事で亡くしたオスカーがどうやって、その事実を理解し受け入れ乗り越えたらいいのか。
私にはその彼の痛みと葛藤と矛盾と理解不能な事と怒りと悲しみと孤独と淋しさと自責の念と罪の思いとぶつけどころの無い愛を、理解は出来てなくても、想像が出来る。
あの時間を共有しているから。
オスカーはどんなにか長く暗く辛いトンネルの中で息をしなければならなかっただろうか。どっちを向いても暗闇で、誰にも助けてもらえない気持ちでいて、一人ぽっち。その想いをどうやって表現したらいいのか分からない。だって、言葉にできない気持ちなんだもの。言葉にならない気持ちを表現するのは難しい。まだから画家とかダンサーとか芸術家が存在するのだけれど。

オスカーの気持ちを自分の事のように感じて、観ていた。お願いだからそんなに自分を、ママを、責めないで。私達庶民にはどうしようも出来なかった。あなたは十分に十分に自分を、ママを傷つけた。だから、どうか、どうか、顔をあげて前を向いて欲しい。あなたを愛する人が近くにいることに気がついて欲しい。
時が必ず、必ず癒してくれる。必ず。だから、もう一人で抱えてないで、出ておいて。

と、謎の呼びかけの感想になってきてしもうた。

とにかく、彼の事を観ながら、自分の体験を思い出し、息が苦しくなりました途中で。息が苦しくて、何になのか具体的には分からないのだけれど涙が出てきて、耳を塞ぎたくなり、目を覆い、胸がつまった。

でも、それでも、みてよかった。彼を通して、私も何かこう浄化というか、目を背け続けてきた物を観たからかな。オスカーと一緒に成長したのかも。

今ここまで思うままにツラツラ書いてきて思うのは、突然に愛する人を失った、という意味では震災も同じかもしれないけれど、震災は自然災害である。でも、911は明らかな人災で、政治、宗教、人種問題である。その政治問題に、一般庶民が無下に巻き込まれた事件だ。

と謎の政治的発言!
映画を見終わった直後は、気持ちがワサワサしててどうしたらいいのかよくわからなかったのだけれど、これを書いた事で少し落ち着きました。ってここまでちゃんと読んでくれた人っているのかしら???
いつもは、読み直してからアップするのだけれど、今日は明らかに長過ぎるブログなので、読み直さないでアップしちゃうよー!

もっと世の中のこと(随分ざっくりやなー!)を知りたい。特に、人種、宗教問題、ゲイ問題(ゲイって問題なのか?)、子供の教育、識字率、などなど色々興味を持っているイシューがある。ちょっとずつね。

ここまで読んで下さったそこのあなた!
偉い!
ありがちゅ♥