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2021年6月11日金曜日

朝カフェ芝居「迷える子シープたち」

明日から始まる、

夜明けの劇場 朝カフェ芝居「迷える子シープたち」

にて、作・演出を担当しています。
いつも眠りにつくような時間帯に芝居します(私は出ないけど)。

いつもと違う厳しい環境の中、
このキャストスタッフとだから、
ここまで辿り着けました。
カンパニー一同で、
全力のおもろくだらないをお届けいたします。
ご都合許しましたら、
一緒におもろくだらない時間を過ごしましょう。

夜明けの劇場 朝カフェ芝居「迷える子シープたち」
6月12日〜23日 計9回公演

舞台は朝のカフェ。オンライングループ占い「あんたの人生占いまっせ、迷える子羊の館へようこそ!迷える子シープたちよ!」に集まる人々が繰り広げる、45分間のコメディをお届けします。お迎えするのは4人のメインキャストと生演奏ピアノ、そしてオンラインで登場する回替わりゲスト。毎日いろいろ変わります✨

作・演出:保科由里子
出演:小早川俊輔・関根麻帆・多岐川装子・妃白ゆあ
ゲスト:樋口麻美・岸祐二・悠未ひろ
ピアノ:久野飛鳥
音響:小川陽平
協力:金益研二
(敬称略)
開場:有楽町 micro FOOD & IDEA MARKET
チケット:ご来場 2,800円、
     配信 1,800円 *3日間アーカイブ付(どちらも税込)
主催・お問い合わせ:
Theatre at Dawn(theatre.at.dawn@gmail.com)

2020年8月17日月曜日

メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」第2章 その2

なかなか長いですが、ぜひとも「その1」から読んで頂けたら嬉しいです。

で、このメルマガ戯曲は、私が扱ってるSNSの中では1番正直に色々と書いてる場所である、「ホッシーナゆりこと仲間たち」のメルマガの中で展開しています。

https://sv7.mgzn.jp/sys/reg.php?cid=T003226

ちょうど、前回のメルマガで今日のところまで配信済みです。

メルマガ内で物語が進み次第、適宜、ここのブログにも公開していく予定です。
ちなみに、月2回配信予定。自宅軟禁中は毎日配信、次第に隔日になって、ついに月2回の配信となってしまいました〜。
ゆるゆると月2回で続けたいと思ってます、月2回でも危うい時あるけど、なんとか。かんとか。(ちなみにブログは月1を目指しておる)


メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」第2章 その2

リース: 「そうなんだよ!!」

少女A: 「どうすんの?!」

リース: 「どうしよう!」

少女A: 「どうしようっか!」

リース: 「どうする?」

少女A: 「もうさ、行こうよ、進もう、前に」

リース: 「ちょっと」

少女A: 「うんだって、帰り方わかんないしどうせ」

リース: 「なんかさ、え?なんか」

少女A: 「なによ?」

リース: 「カッコよくなったよねぇ(ニヤニヤ)」

少女A: 「(大テレして)えぇやだなにぃちょっとやめ」

リース: 「(カットオフして)よし行こうか」

少女A: 「(スンっとして)うんそだねー」

リース: 「とりあえずさ、あの巨大な噴水まで行く?」

声: 「すみません」

 

   少女Aとリースが声の方を振り返る。

   そこに、黒人女性が手になにかを持って立っている。

 

女性: 「すみません、これ落としましたよ?」

 

   固まる少女Aとリース。

 

女性: 「あの、これ、違います?」

 

   慌てて返事をする少女A。

 

少女A: 「あ、え、エクスキューズミー?」

女性: 「日本語で大丈夫です」

少女A: 「あの、アイムソーリー、アイキャント・・」

女性: 「(優しくカットオフして、丁寧に)日本語わかりますよ」

 

   短い間。

 

少女A: 「あ、す、すいません、驚いた、だって日本語上手・・」

女性: 「驚かしちゃいましたよね、ごめんなさい、私日本人なんですよ、だから日本語ベラ

    ベラ」

リース: 「えーーーーー!!」

少女A: 「(リースに)ちょっとっ!」

リース: 「だってっ!」

女性: 「(楽しそうに笑って)あっはっは、そりゃえーってなりますよね、大丈夫、いつも

    のことだから」

少女A: 「(シュンとして)あ、いつもこんな風に驚かれるんですか・・えっと、すいませ

     ん」

女性: 「残念ながら、慣れてます」

リース: 「見た目で判断しちゃダメってことだよ、私の時で学ばなかったのか」

少女A: 「あ」

女性: 「じゃあ、次からは気をつけないとね」

少女A: 「はい、ごめんなさい」

女性: 「で、これ、違う?さっきポトって落ちた気がしたんですけど」

 

   少女Aとリースが女性の手に乗っている物を見ると、

 

少女A・リース: 「えーーーーーーーーーー!!!!!」

少女A: 「成田凌じゃん!」

リース: 「ほんとだ成田凌じゃん!」

女性: 「成田凌?これが??」

少女A: 「ちっちゃ!なんでこんなちっちゃくなってんの!!」

リース: 「手のひらサイズの成田凌!!」

少女A: 「かわいいじゃん!」

 

   3人は女性の右手の平を見下ろす。

   間。

 

リース: 「(少女Aに)ねぇ、話しかけなよ」

少女A: 「え、あ、うん」

 

   少女A、深呼吸をして、

 

少女A: 「あの、き、聞こえますかー!」

 

   3人、それぞれの片耳をリョウポートに寄せる。

   間。

 

リース: 「聞こえないのかな?」

少女A: 「これさ、寝てるんじゃない?横になってるし」

女性: 「ゆすってみる?」

 

   少女Aとリースが驚く間もなく、女性はリョウポートを乗せてない方の左手を右手にか

   ぶせ、ワッシャワッシャとバーテンダーのように手を振る。

 

少女A: 「あちょちょちょちょちょっ!酔う酔う酔う!」

リース: 「死んじゃうよ!」

女性: 「あら失礼!(朗らかに笑いながら)ワザとよぉ」

 

   と言って手を開くと、ヨレッヨレのフラッフラになったリョウポートが立っていた。

 

リョウポート: 「し・・・死ぬぅっ!!」

リース: 「声ちっさ!」

少女A: 「良かった生きてたーっ!」

女性: 「(残念そうに)あーあ」

リース: 「・・・あーあ?って??」

女性: 「あーあ?って?」

リース: 「え、いや、今、あーあ?って仰いました?あれ?」

少女A: 「とりま生きてて良かったよ、これで迷子はまぬがれた!よね?え、帰れるんだよ

     ね?(リョウポートに)私たち帰れる?」

リョウポート: 「(何か言ってるがよく聞こえない)」

 

   少女A、リース、女性が耳をそばだてて聞いている。

   短い間。

 

少女A: 「これさ、」

リース: 「うん」

少女A: 「あれだよね」

リース: 「そうだね」

少女A: 「あのぁ、あれ、」

リース: 「うん」

少女A: 「何言ってるか全然聞こえなかったよね」

リース: 「そうだねぇ」

少女A: 「なんか伝えようとしてたのは伝わったけどね」

女性: 「私聞こえたかも」

少女A・リース: 「えっ!なんてっ?!」

 

   女性の顔をガン見する少女Aとリース。

 

女性: 「(小声で)酔っちゃったよーって」

 

   短い間。

 

少女A: 「そうか」

女性: 「うん」

少女A: 「酔っちゃったか」

女性: 「うん」

少女A: 「でもそれってさ?」

女性: 「うん」

少女A: 「あなたが、こうワッシャワッシャとゆすったからですよね?」

リース: 「(諌めながら)ちょいちょいちょい」

女性: 「まぁ!」

リース: 「まぁ!って」

女性: 「そうなのよ!」

リース: 「そうなのよ!って!!ズッコケること言うじゃん!!!」

女性: 「じゃあどうする?」

少女A: 「なにが?」

女性: 「この手のひらサイズの成田凌、捨てちゃう?」

メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」第2章 その1

そうなんですよ、なんと、このメルマガ限定(だった)メルマガ戯曲、第2章へと
続いているんですねぇ、しかもまだ継続中なんですよねぇ、もはやほんとどうやって終わるのか、どこに向かってるのか、全然わからないんですよ、なんせ、「ノープラン・ノープロット・その時のノリと勢いのみ」で書いてますから。あはは。

もし読んでくださるようであれば、その1から是非。



メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」第2章第1話

 

 

     少女Aとリースとリョウポートは、ベルサイユ宮殿内の庭園を散策している。

 

少女A: 「お庭もさ、宮殿もさ、広過ぎじゃね?」

リース: 「やばいよね」

少女A: 「東京ドーム何個分だろ?」

リース: 「なんで東京ドー」

リョウポート: 「(カットオフして)220個分と言われています」

 

   少女Aとリースは目をひん剥いて、

 

少女A・リース: 「にっ、ニヒャクニジュッコブンッ!!!!!」

リョウポート: 「ウィ」

少女A: 「ちょっと意味不明」

リース: 「ちょーデカイってことはわかった」

少女A: 「デカ過ぎだよ、こんなに広くて探せんのかなぁ、ムリっしょー」

リョウポート: 「漫然と歩いても見つからないでしょうね」

少女A: 「まんぜん?」

リース: 「ただぼんやり歩いてもってこと」

少女A: 「そうか、なにか目的を持って歩けばいいんだ!」

リース: 「なんか急に頭冴えてきたじゃん」

少女A: 「だってベルサイユだよ?宮殿だよ?220個だよ?今冴えないでいつ冴えるのよ

     ぉ(褒められて嬉しそう)」

リョウポート: 「(淡々と)では、どうしましょう」

少女A: 「目的を決めよう。歩く目的を」

リース: 「良いと思う!」

リョウポート: 「その歩く目的とは?」

 

   リースとリョウポートが少女Aを見る。

 

少女A: 「うーん」

リース: 「うーん?」

少女A: 「むーん」

リース: 「むーん?」

少女A: 「ぬー」

リース: 「(カットオフして)ちょっと。真面目に考え」

少女A: 「(カットオフして)あっ!」

リース: 「なにっ?!」

少女A: 「私が好きなものを探す!」

 

   短い間。

 

リース: 「良いと思うっ!!!!!」

少女A: 「私は、私が好きなものを、探す」

リース: 「いいじゃんいいじゃん、素敵じゃん!」

リョウポート: 「ここでですか?東京ドーム220個分の広さの、ベルサイユ宮殿でですか」

少女A: 「そうだよ。だって、やってみなくちゃわかんないじゃん、始める前に止めるなん

     て、ダサいよ」

リース: 「ねぇ。ほんとに。どうしたの。頭。キレッキレのサエッサエなんだけど」

 

   3人は宮殿を背にして、目の前に広がる広大な庭園を眺める。

 

少女A: 「やっぱさ」

リース: 「うん」

少女A: 「これさ」

リース: 「うん」

少女A: 「でかくね?」

リース: 「でかいね、でかいよ、ここで本当に見つかるのかなぁ、好きなもの」

少女A: 「ま、やってみよ。間違えたらやりなおそ」

リース: 「うん」

少女A: 「よしっ!じゃあ、せーのっ!で、3人で一歩前に踏み出そう!」

リース: 「なんか青春みたい!やってみたかった、青春!」

少女A: 「では」

 

   3人は一緒に深呼吸をする、スーハー。

 

少女A: 「せーのっ!」

 

   少女Aとリースは大きな一歩を踏み出す。

 

リース: 「青春最高っ!」

少女A: 「けっこう簡単だったね」

リース: 「うんまあね〜、片足を一歩出すだけだからね」

少女A: 「いや、でもきっと大きな意味を持つんだよ、うん、ね?」

 

   と、少女Aはリョウポートに話しかける。

 

少女A: 「あれ?」

 

   と、少女Aは辺りを見渡す。

 

リース: 「あれ?」

 

   と、リースも辺りを見渡す。

 

少女A: 「成田凌どこいった?」

リース:「えどこいった?」

 

   二人はキョロキョロするがリョウポートらしき人物は見当たらない。

 

少女A: 「え待ってうそでしょ」

リース: 「観光客多くて見つけられなくない?」

少女A: 「ってかさ、これ、あれじゃね?」

リース: 「なに?」

少女A: 「迷子」

リース: 「えヤバ!」

少女A: 「そりゃ迷子にもなるよ、混んでるもん」

リース: 「そうだけど!」

少女A: 「お庭の向こうの方は空いてるのにね」

リース: 「そうだけど、ベルサイユ宮殿で迷子って?!」

少女A: 「どうする?迷子センターみたいなとこ行ってみる?」

リース: 「移動したらますますはぐれちゃうよ、ここにいようよ、どうしよう」

少女A: 「なにビビってんの?」

リース: 「だってノンパリまで来て迷子って!心配過ぎる!!」

少女A: 「ほんと困った奴だよねー」

リース: 「え?」

少女A: 「旅がこれから始まるっていうときに」

リース: 「え誰が迷子なの?」

少女A: 「成田凌、えどういう意味?」

リース: 「迷子は!私たちだよ!!」

少女A: 「え?」

リース: 「え?」

少女A: 「まぢで?」

リース: 「まぢで」

少女A: 「なんで?」

リース: 「だって成田いなかったら無理じゃん」

 

   一瞬の間。

 

少女A: 「やばー!!」

メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」 その4

その1から読んでね、そしてなんとここまでで第1章なんですよ、意外と長いのよ。



メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」 その4


リース: 「え!いや、あははって」

少女A: 「だってないんだもん」

リース: 「えー」

少女A: 「うん、まぁ仕方ないね!」

リース: 「いや、まぁ仕方ないね!って、うん、いやぁ、え、でもあれ大事なんじゃない?

     だって覚えてるの、なに書いてあったか?」

少女A: 「(しらっと)なにが?」

リース: 「メモになにが書いてあったか覚えてるのって」

少女A: 「(しらっと)ん?ごめんごめん、なに?」

 

     短い間。

 

リース: 「嘘でしょ」

少女A: 「(しらっと)えー、だから、なに?」

リース: 「覚えてないんじゃん、あんた、メモの中身、覚えてないんじゃん!」

 

     それまで二人の話を聞いてないように見えたリョウポートが、

 

リョウポート: 「(静かに)ワットゥ?」

 

     短い間。

 

少女A: 「(真顔で)ノンパリの人たちはオシャレですね、どこで服買ってるんですか」

 

     短い間。

 

リース: 「あんたなにを・・・」

リョウポート: 「アニエスベー」

 

     短い間。

 

少女A・リース: 「まぢで?」

リョウポート: 「マヂマヂ」

少女A: 「フランス人って本当にアニエスベー着るんだ」

リョウポート: 「なんならフランスのギャップ的な立ち位置です」

少女A・リース: 「まぢで?!」

リョウポート: 「マヂ」

少女A: 「なんか、急に庶民感」

リース: 「わかる」

少女A: 「そうか、もっと気軽な感じなんだなアニエスベー!なんだそっか〜へーなるほど

     ね〜」

リース: 「そうだね〜!っていうか!どうすんの!メモ!」

少女A: 「わかんない!」

リース: 「覚えてないんでしょ?」

少女A: 「あっ!戻ればいいじゃん!なんだ私天才」

リース: 「どうやって?」

少女A: 「成田凌に頼んで」

リース: 「えーあいつに頼むのなんか癪に触る。絶対文句言うぜ?」

少女A: 「すいません、リョウポートさん、忘れ物したんで戻りたいです、ギョギョギパー

     クに」

リョウポート: 「(静かに)ワットゥ?」

少女A: 「うんだから、一旦戻りたいです、ギョギョギパークに」

リョウポート: 「(静かに)ワイ?」

少女A: 「わい?私?」

リース: 「なんでって」

少女A: 「あだから、忘れ物を取りに」

リョウポート: 「(カットオフして)ノン インポッシブルです」

少女A: 「ワイ?」

 

     この咄嗟の返事にリースが、少女Aを見直す。

 

リース: 「うまい」

少女A: 「へっへっへ」

リョウポート: 「ビコーズ、我々は過去へは戻らない、進むだけなのです、フューチャーに」

 

     間。

 

少女A: 「うん言ってることはすごいカッコイイんだけど、あれがないと困るんだよ」

リョウポート: 「ワイ?」

少女A: 「えーっと、いやぁ、うん、ちょっと思い出せないんだよねぇ、うん」

リョウポート: 「ワイ?」

リース: 「いやそこは『ワイ?』じゃなくない?」

リョウポート: 「(ちょっと赤面して)ワットゥ?」

リース: 「いやちょっと赤面って」

少女A: 「いやあのぅ、メモの、中身を。何かを探すはずなんだけど、なんだっけなぁって

     思って」

リョウポート: 「つまり、旅の目的がわからなくなった、と?」

少女A: 「ウィ!」

リョウポート: 「ワイ?」

少女A: 「ワイ?って?」

リース: 「なんでって」

少女A: 「うん、ワイ?の意味はわかってる」

リース: 「お、おぅそうか」

少女A: 「なんで?って?」

リョウポート: 「旅の目的がわからなくなったのは、ワイ?って」

少女A: 「あ、だから、メモを落としちゃったみたいなんです、旅の目的を書いた」

リョウポート: 「で?」

少女A: 「で?あ、で、そのメモに目的っていうか、何かを探せって書いてあったと思うん

     だけど、思い出せないから、そのメモを取りに帰りたいってわけなんです」

リョウポート: 「なるほど。でも、アン、我々は過去へは戻らない。

        ドゥ、フューチャーに進むだけ。

        トロワ、メモがなくても旅は続ける。

        ビコーズ、目的がなくても旅は続けられる」

 

     短い間。

 

リース: 「おぉぉぉぉ、成田凌まぢでちょーカッコイイんだけど」

少女A: 「いやカッコイイけどさ、無理じゃね?どうやって続けるの?」

リョウポート: 「前にゴーするのです、自分の足を一歩ずつ、とにかく前へ」

リース: 「おぉぉぉぉぉっカッコイイっ!!!」

少女A: 「でもさ、どっちにゴーしたら良いかわからないんだよ?一歩出せないじゃん」

リョウポート: 「一歩は出せます、前に足を出せば良いのです」

少女A: 「いやそりゃ物理的にはそうだろうけどさ」

リョウポート: 「それしかないのですよ、ユーたちも、ミーも、とにかく一歩ずつ前に足を

        出してゴーするしかない」

少女A: 「どっちにゴーしたらいいかわからない時は?」

リョウポート: 「目をクローズして、一歩だす」

少女A: 「か、賭けじゃんっ!」

リース: 「面白そう!」

少女A: 「え?」

リース: 「面白そうじゃん、やってみようよ」

リョウポート: 「とにかく一歩前にゴーする、違ったなと思ったら、また違う方へゴーして

        みる。間違えたら、そこからまたゴーしなおせば良いのです。それを続けて

        いるうちに、きっと、ユーが探しているものは見つかるはず」

リース: 「(しみじみと)はぁカッコイイ」

少女A: 「その探し方だとさ、すごい時間かかりそうだよね」

リョウポート: 「時間がかかっちゃいけない理由はありますか?」

 

     短い間。

 

少女A: 「特にない」

リョウポート: 「それに、ゴーし続けるうちに、わかるはずです、どこに向かえばいいのか、何を探しているのか」

少女A: 「そうかなぁ」

リョウポート: 「だから、ゴーし続けるのです。間違えたら、また違う方に向かってゴーす

        れば良い、それだけです。何にも難しいことはないでしょう?」

少女A: 「たしかに」

リース: 「うん、面白そうだよ」

少女A: 「うん。ゴーしてみようか」

リース: 「うん」

 

     少女Aとリース、向き合って照れ臭さそうに頷きあう。

 

リョウポート: 「まずは、ベルサイユ宮殿入館チケットを買いましょう」

メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」 その3

その1から読んでねー!色々アレで謎だけど、まぁイベントだから!メルマガ内のイベントだから!そのつもりで!!


 

メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」 その3


     静かな短い間。

 

リース: 「え?」

少女A: 「え?」

リース: 「今なんて?」

少女A: 「(照れて)いやちょっと咄嗟なことで・・」

リョウポート: 「ブラーヴァ!はい決まりました、ウィーはベルサイユ宮殿にゴーします。

        ナウ」

少女A: 「ナウっ?!」

リョウポート: 「イエス、ナウ」

少女A: 「えちょっ、急っ!」

リース: 「私乗れるかな飛行機・・」

少女A: 「乗れないの?」

リース: 「動物の入国はいろいろ面倒くさいんだよ」

少女A: 「えー、こっそり私のバッグに入ってたらいいよ、っていうか、私バッグ持ってな

     いや、っていうか手ぶらだわ。なんで手ぶらなんだよ!」

リョウポート: 「では、今すぐライトナウ出発です」

少女A・リース: 「ライトナウ出発??」

リース: 「え待って、私どうすれば・・」

リョウポート: 「(カットオフして)さぁ目をギュウッと閉じて!さぁ!レッツ閉じろ!!」

少女A・リース: 「はいっ!」

少女A: 「成田凌こっわ」

リョウポート: 「次に耳を閉じて!さぁ!レッツ閉じろ!!」

少女A・リース: 「ど・・どうやって?!」

リョウポート: 「自力でっ!」

少女A・リース: 「じ、自力で・・・?」

リョウポート: 「さぁ急げ!!」

  

     少女Aとリースは両手で耳をふさぐ。

 

リョウポート: 「それは閉じているではなく塞いでいるだっ!」

少女A: 「いちいちうるさいなぁっ!」

リョウポート: 「急げ!時間がない!!早く耳も閉じろハリーアップっ!!!」

リース: 「(少女に小声で)念力がいいよ」

少女A: 「ね、念力っ?!斬新っ!!」

リョウポート: 「それから口も閉じるのだ!そして右鼻も!!」

少女A: 「むずっ!」

リース: 「閉じましたっ!」

リョウポート: 「口が開いているっ!」

リース: 「はっ!!」

リョウポート: 「よし、いいか。今から心を無にするのだ、そして心の目で暗闇の向こうに

        うっすらと見える光を見つけ、心の中でこう呟く、

        『ベルサイユ宮殿、ヒア アイ カム』わかったらうなづけ!」

 

     少女Aとリースは念力で耳を閉じているため良く聞こえない。

 

リョウポート: 「よし。耳は閉じているな!ユーたちの心にもう一度語りかけるぞ!」

 

     10秒ほどの静かな間。

     少女Aとリースが、うなづく。

 

リョウポート: 「さぁ、準備は整った、行くぞ!!5、4、3、2、1っ、レッツリョウッ!」

 

     突然、地面がゴゴゴゴゴと共鳴し、揺れる。

 

少女A: 「なっ、なにk・・」

リョウポート: 「シャッタファックアップッ!!」

 

     少女Aは恐怖で口をつぐむ。リースも口をしっかり閉じている。

     地面は揺れ続け、真っ直ぐ立っているのもやっとな程。両足で踏ん張って立つ3人。

     恐怖と揺れで、意識が遠のきそうになったその瞬間、

 

リョウポート: 「(大声で)レッツフラーーーイ!!!!!」

 

     と叫ぶ。

     その瞬間、3人の体は宙に浮き、あっっっ!!!と言う間に姿を消した。

     そして・・・

     「ズヴァァァァァンンンンンッッッ!!!!!」という音とともに到着。

     地面にひっくり返っている少女が、

 

少女A: 「ちょ、え、なに、なにが起きた?え?え?」

リョウポート: 「着きました」

 

     リョウポートは何事もなかったかのように、澄まして立っている。

     少女Aの隣で同じく地面にひっくり返っているリースが、

 

リース: 「へ?」

リョウポート: 「周りをルック」

 

     少女Aとリース、上半身を起こして周りを見回す。

 

少女A: 「えまぢで?え?ここあれ?もしかして・・」

少女A・リース: 「ベルサイユ宮殿っ?!」

リョウポート: 「ウィ!」

 

   少女Aはパッと立ち上がって、辺りを見渡す。

 

少女A: 「うそうそうそうそ!すごいすごいすごい!外国じゃん!なにこれ魔法じゃん、

    えまぢで言ってる?えまぢで?」

リョウポート: 「マヂマヂ」

少女A: 「外国カッけぇ!!」

リース: 「私も来れちゃった!」

少女A: 「いや成田凌やっぱすごいわ」

リース: 「いやほんとすごいね本当に来ちゃったよ、ベルサイユ!パリ!!」

少女A・リース: 「パリーーーーー!!!!!」

少女A: 「なんかさ、(クンクンと匂いを嗅いで)においがもうオシャレだよね、ふぁ〜」

リース: 「わかる、もう空気がね」

少女A: 「そうそう、なんだろ、なんか、うん、なんかパリって感じ」

リース: 「わかるわかる、もうパリってだけでオシャレっていうか」

少女A: 「そうそう!見てみてみて、あそこに立ってる女の人、存在がもうオシャレ」

リース: 「あのスカーフが違うよね、しかもボーダー着てるし!ザ・パリって感じ!なんか

     もう東京と全然違う、パリヤバい」

少女A: 「うん。パリジェンヌヤバいね」

リース: 「ヤバいヤバい」

リョウポート: 「エクスキュゼモア、ここはノンパリね」

少女A: 「え?ノンパリ?」

リース: 「あぁ!ここは、ノンパリってとこなんだよ」

少女A: 「あぁなるほど!パリじゃなくて、ノンパリって場所なんだ」

リース: 「ノンパリジェンヌもオシャレだよね」

少女A: 「うんもうさ、フランスってだけでオシャレなんだよ」

リース: 「わかる」

少女A: 「うっとりしちゃうね」

リース: 「わかる」

少女A: 「ねぇベルサイユ宮殿どこ?」

 

     長蛇の列の一番後ろに並びながらリョウポートが少女Aとリースを呼ぶ。

 

リョウポート: 「さぁ、こちらへカモン!」

 

     二人はリョウポートの方へ歩きながら、

 

少女A: 「なにこの列?」

リース: 「でもほんと、ベルサイユ宮殿どこなのかな?」

少女A: 「いやそうなんだよ、なんか雰囲気だけで浮かれちゃったよね」

リース: 「でも浮かれちゃうよ、だって雰囲気だけで何もかもオシャレなんだもん」

少女A: 「それな。(リョウポートに)ねぇ、ここ本当にベルサイユ宮殿なの?どこですか?」

リース: 「なんで並んでるんですか」

リョウポート: 「ウィ、ここは本当にベルサイユ宮殿、これはチケットを買うラインだ」

少女A: 「チケット?」

リョウポート: 「ウィ、ベルサイユ宮殿の入場チケット」

少女A: 「今から買うの?!めっちゃ並んでんじゃん!嘘でしょ」

リョウポート: 「ノン、嘘じゃない、今から並んでもクローズまでには間に合うだろう」

少女Aとリース: 「えええええええええええええええーーーーー」

リョウポート: 「えーじゃない、なにをしに来たのか忘れたのか」

少女A: 「なんだっけ?」

リース: 「ポケットに入ってるよ」

少女A: 「そうだった」

 

     と、少女Aがジーンズのポケットに手を入れメモを探す。

 

少女A: 「ん?」

リース: 「なに?」

少女A: 「(あらゆるポケットに手を突っ込んで探しながら)いやぁ、え?あれ?いやいや

     嘘でしょ、え?」

リース: 「なによ」

少女A: 「これは、あれだよね、うん、これは、そうね、ない感じ?」

リース: 「え?」

 

     少女は探すのやめて、

 

少女A: 「うん、ないね、メモ。なくなっちゃった。あはは」