さぁ。じゃんじゃんアップしていきますよ、このメルマガ戯曲についてはその1から読んでくださいね、私のウダウダした言い訳が書き連ねられてますから。
メルマガ戯曲「少女Aと探し物へ」 その2
リス: 「あのね、非常に言い難いんだけど、あなたは今家に帰れないの。家にはいられない。
だから旅に出るしかないの」
少女: 「えっ!なんで!どゆこと?ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと教えてよリス!リス!あ、
シマリス!」
リス: 「ねぇ。バカにしてる?人にものを尋ねるのに呼び捨てはだめでしょう?『(わざと
大げさに)リス、リス!あはぁっ!シマリスゥ!』って。絶対バカにしてるじゃん。
いや美しいシマリスだけども。私あなたのこと、人間!なんて言わないよ?」
少女: 「そう?」
リス: 「私の名前はリース・ウィザースプウフン」
少女: 「ん?」
リース: 「リース・ウィザースプウフン」
少女: 「んん?」
リース: 「リース・ウィザー・・」
少女: 「(カットオフして)うんわかったもういいや、じゃ行こ、リース」
リース: 「どこへ?」
少女: 「わかんない。でも。『推しの歌声』を探しに行こう。一緒に」
リース: 「り!」
二人見合う。一瞬の間。
少女: 「(メモをジーンズのポケットにしまいながら)でもさ、どうやって探すの?ってい
うか、どこにあるんだろう?っていうか、ここどこ?」
リース: 「ギョギョギ・・」
少女: 「(カットオフして)パークでしょ、それは分かったけど、そんな名前の公園、東京
にはないよ。多分。っていうか、だいたい、私なんでここにいるんだろう?え、待っ
て、私誰?え?ちょっと!私!だれ!!」
リース: 「(冷静に)落ち着け」
少女: 「これが落ち着いてられるかっ!私!だれっ!!」
リース: 「おまえは!少女Aだ!」
少女A、ぽかんと口を開ける。
短い間。
少女A: 「待て待て、それは容疑者の名前だ。犯罪者とか」
リース: 「もしくは、名前を持たない人の名前」
少女A: 「はい?」
リース: 「名前を持てない人の名前」
少女A: 「こっわ!やっば!名前を持てないって、Aって!少女Aって!私は!だれぇーー
ー!!!」
リース: 「それも探せばいいじゃないですか。ね。だからひとまず落ち着いて」
少女A: 「これが落ち着いてられるか!リスなんかに・・」
リース: 「私には名前がある!」
少女A: 「リース・ウィザースプウフンなんかに・・」
声: 「シャラップ!!」
少女A: 「え?」
リース: 「(小声で制して)しっ!」
少女Aとリース、固まり、黙る。心臓バクバク。静かな間。
木がサワサワと揺れる音がする。
声: 「シャラップ、プリーズ」
短い間。
少女A: 「(震える小声で、リースに)だ、だれ・・・?」
リース: 「(小声で)わかんない」
少女A: 「(震える小声で)わかんないって」
リース: 「(小声で)だってわかんないもん」
少女A: 「(震える小声で)もんって」
リース: 「(小声で)だってわかんないもんはわかんないもんっ」
少女A: 「(小声で)怒んなくたっていいでしょ」
リース: 「怒ってないもん」
少女A: 「(小声で、ちょっとバカにして)いやだからもんって」
リース: 「はい?」
少女A: 「怒ってないもんって言うんだもん」
リース: 「はい?」
少女A: 「だから・・・」
声: 「(地響きのような声)シャーラーーーップッッッ!!」
という声と共に、地面がゴゴゴゴゴと共鳴し、揺れる。
リースは倒れまいと少女Aの足に必死にしがみつく。
少女A: 「なにこれ地震?!!」
リース: 「あわわわわこわわわわ」
少女A: 「何が起きてんの!ギョギョギーパークにっ?!!」
リース: 「あわわわわわわこわわわわわわ」
少女とリースの背後から明るい声が聞こえる。
声: 「ウェルカム トゥ ギョギョギパーク!!」
少女Aはビックリして振り返る。そこに立っているのは、ハンサムな青年。
少女A: 「(息を飲んで)はっっっ!!いっ・・イケメン・・・」
少女Aの足にしがみついていたリースも振り返る。
リース: 「(息を飲んで)はっっっ!!なっ・・成田凌・・・」
少女Aはリースを見下ろして、
少女A: 「えっ、成田凌?まさか・・・本物・・?!!」
リース: 「えっ、まさか・・・?!!」
二人は上目遣いでチラチラと青年を盗み見する。か、かっこいい・・・。
青年: 「ハロー、ガールズ!アイ アム 成田リョウポート。コレカラ ユータチヲ ツレ
テイクヨ、 カモン!」
少女A: 「(リースに)てか、ジャニーさんみたいなの出てきたじゃん」
リース: 「(少女に)でもイケメンだよ」
少女A: 「でも成田凌じゃないでしょー。えー?本物〜?え〜(嬉しそう)」
リース: 「でも成田リョウポートって」
少女A: 「それ言うなら、成田エアポートでしょ」
リース: 「飛行場?」
少女A: 「えー成田凌?(嬉しそう)」
リース: 「えー、じゃあ、あのイケメン何者なんですかね」
少女A: 「あのぉ、あなた成田凌ですか?(嬉しそう)」
リョウポートは爽やかな笑みをこぼして、
リョウポート: 「(驚くほど爽やかに)イエス?」
少女A・リース: 「えっ!!」
リョウポート: 「オア ノー?」
少女A・リース: 「えどっち!!」
リョウポート: 「さぁ、レッツ リョウ!」
リョウポートは大股で歩き出す。
少女A: 「レッツリョウって色々紛らわしい・・」
リース: 「ほんと」
少女A: 「とりま、レッツリョウしてみる?」
リース: 「うん」
少女A: 「なんか、よくわかんないけど、前に進んでみなくちゃ分からないって直感が言っ
てる」
リース: 「良い直感だね」
少女A: 「知ってる〜。よし。レッツリョウさん、待ってー!」
リョウポートは振り返らず歩き続ける。
少女A: 「なんだよ成田凌って意外と冷たいな!」
少女Aとリースはリョウポートに向かって走り出す。
リースが少しずつ遅れを取るのを見て、
少女A: 「リース、私の肩に乗っていいよ」
リース: 「(息切れしながら)っはーっはー、へっ、な、なんで・・」
少女A: 「ぽいっ」
と言って、少女Aはリースを左肩に乗せ、
少女A: 「さっきはあんなに速かったのに」
リース: 「小柄なんで体力が、はーはー」
少女A: 「ちゃんと捕まってね」
再びリョウポートに向かって走りだす。
追いつくと、
少女A: 「ちょっと待ってって。私たちどこ行くの?」
リョウポートは歩きながら、
リョウポート: 「ユーはどこにゴーしたいですか?」
少女A: 「えっ!・・逆質問かよ・・成田凌めんどくさいな・・レッツリョウって誘ってお
いて」
リース: 「私たちは探し物があるんです」
少女A: 「そうだ!私たち・・・」
と、ゴソゴソと自分のジーンズのポケットからメモを取り出す。
少女A: 「(メモを読んで)『あなたはこれから《推しの歌声》を探す旅に出るのだ。紅 茶
子より』」
リョウポート: 「紅茶子?ティーチャイルド?」
少女A: 「(リースに)私たち、推しの声を探すんです」
リョウポート: 「そう、ユーたちは、これからジャーニーに出るのです。まずは、どこにゴ
ーしたいですか?」
少女A: 「どこって・・わかんないよ」
リョウポート: 「ユー ドントゥ ノーでも、自分で考えて、決めるのです、ユーが」
リース: 「どこを探せばいいのかな?」
少女A: 「推しの声??だいたい、推しの声って・・私の推し??ってこと?」
リース: 「いるの、推し」
少女A: 「特に・・」
リース: 「えーーー推しいないのかよ!からっからの乾ききった砂漠人生だな!潤いが足り
ないぞ!」
少女A: 「ほっとけよ!」
リース: 「推しがいてこその人生!生きる意味!」
少女A: 「わかったよ!」
リース: 「じゃあどこ探すんですか!」
少女A: 「わかんないよ!」
リース: 「どっち!」
少女A: 「わかんない!」
リース: 「だいたい誰探すんですか!」
少女A: 「だから私に言われてもわかんないよ!!」
リース: 「じゃあ誰に言えばいいんですか!」
少女A: 「ほんとだよ誰に言えばいいんだよ!!!」
リョウポート: 「(静かに)で、どこにゴーしますか」
少女A: 「え、だからわかんないって・・」
リョウポート: 「5、4、」
リース: 「カウントダウン?」
リョウポート: 「3、」
少女A: 「えやばっ!」
リョウポート: 「2ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・」
少女A: 「え、え、えっ」
リョウポート: 「(大きく息を吸って)いぃぃぃ・・」
少女A: 「ベルサイユ宮殿っ!」